GLOSSARY

用語集

新規事業・イノベーションの現場で使われる重要概念を体系的に解説します。

Build-Measure-Learn(BMLループ)

びるど・めじゃー・らーん

リーンスタートアップの核心サイクル。「構築→計測→学習」の反復で仮説を検証する。ループの始点は「Build」ではなく「何を学ぶか」の定義。PDCAとの本質的な違い、大企業での失敗パターン、ループ速度の設計まで解説する。

Build-Measure-Learnサイクル(詳細解説)

びるど・めじゃー・らーん・さいくる

Eric Riesが提唱したリーン・スタートアップの核心ループ。「何をMeasureするか」の設計が事業仮説の検証速度と質を決定する。デジタル製品とハードウェアの2事例で実装方法を具体化する。

MVP(最小実用製品)

えむぶいぴー

Minimum Viable Productの略。Eric Riesによって普及した概念で、「検証したい仮説を最も効率的に検証できる最小限の実験物」を指す。完成度の低い製品ではなく、仮説検証のための設計思想。

TRL(技術成熟度レベル)

てぃーあーるえる

技術の成熟度を9段階で評価するフレームワーク。NASAが考案し、新規事業や研究開発の投資判断で広く使われる。基礎研究(TRL 1)から実運用(TRL 9)まで、技術の「どこまで来ているか」を定量的に示す。

イノベーション・アカウンティング

いのべーしょんあかうんてぃんぐ

不確実性の高い新規事業の進捗を、財務指標(売上・PL・ROI)ではなく「検証された学習量」で測定・管理する考え方。Eric Riesが2011年の著書『The Lean Startup』で提唱した概念で、仮説検証の進捗を定量化することを目的とする。

イノベーション・アカウンティング

いのべーしょん・あかうんてぃんぐ

不確実性の高い新規事業の進捗を、売上やPLではなく「検証された学習量」で測定する管理会計手法。Eric Riesが『The Lean Startup』(2011年)で提唱した概念。

イノベーション・シアター

いのべーしょん・しあたー

イノベーション・シアターとはスティーブ・ブランクが2019年論文で命名した概念で、実質的な事業成果を生まない「見た目だけのイノベーション活動」を指す。大企業の事業化率は施策全体の5%未満というデータを背景に、拠点運営で見学200社・事業化ゼロを経験した筆者が構造と脱却策を解説する。

カーブアウト

かーぶあうと

カーブアウトとは親会社が事業の一部を切り出し独立した経営体として分離する手法だ。スピンオフ(持分ゼロ)・MBO(経営陣による買収)との違いを比較表で示し、意思決定ロジックの解放・CEOポジション創出・親資産活用という3つのイノベーション活用メリットと主な失敗パターンを解説する。

ステージゲート・プロセス(実装ガイド)

すてーじげーと・ぷろせす・じっそうがいど

Robert G. Cooperが提唱した新規事業・製品開発のフェーズ管理手法を、大企業の現場で実装する際の設計判断と落とし穴を解説する実践的ガイド。「承認の関所」に変質させないための運用設計が核心だ。

ステージゲート法

すてーじげーとほう

新規事業やプロダクト開発を複数の段階(ステージ)に分割し、各段階の移行時に審査(ゲート)を設けるプロジェクト管理手法。Robert G. Cooperが1990年に提唱した。大企業では「管理手法」として導入されるが、本来は「学習の加速装置」として設計されたフレームワークである。

デザインスプリント

でざいんすぷりんと

Googleが体系化した5日間のプロセスで、問題の定義からプロトタイプの作成・ユーザーテストまでを1週間で完結させる。Jake Knappらが『SPRINT』(2016年)で体系化した。

バックキャスティング

ばっくきゃすてぃんぐ

未来の望ましい状態を先に定義し、そこから逆算して現在すべき行動を導く思考法。フォアキャスティング(現状延長型の予測)とは対照的に、変革的なイノベーション戦略の設計に適している。

バリュー・プロポジション・キャンバス

ばりゅー・ぷろぽじしょん・きゃんばす

Osterwalderが開発した、ビジネスモデルキャンバスの「顧客セグメント」と「価値提案」を深掘りするフレームワーク。顧客のJobs/Pains/GainsとValue MapのPain Relievers/Gain Creatorsを対応させ、価値提案のフィットを設計する。

バリュー・プロポジション・キャンバス(実践編)

ばりゅー・ぷろぽじしょん・きゃんばす・じっせんへん

Alex Osterwalderが設計した価値提案設計ツールを、新規事業の0→1フェーズで実際に機能させるための実践的な使い方と、「フィット」を判定するための定量的アプローチを解説する。

ビジネスモデルキャンバス(BMC)

びじねすもでるきゃんばす

Alexander OsterwalderとYves Pigneurが2010年に体系化した、事業の構造を9つのブロックで可視化するフレームワーク。顧客・価値提案・収益構造を1枚のシートで俯瞰する。

ピボット

ぴぼっと

スタートアップや新規事業において、検証の結果に基づいて事業の方向性を大きく転換すること。Eric Riesが『リーン・スタートアップ』で体系化した概念。

フィジカルAI

フィジカルエーアイ

実世界の物理空間で自律的に行動するAIシステムの総称。ロボット、自動運転車、産業機械などに組み込まれ、センサーで環境を認識し、アクチュエーターで物理的操作を実行する。デジタル空間のみで機能する従来のAIと対比される概念。

プロダクトマーケットフィット(PMF)

ぷろだくとまーけっとふぃっと

プロダクトが特定の市場セグメントの切実な課題を解決し、顧客が自発的に使い続け・広める状態。Marc Andreessenが2007年に定義した概念で、スタートアップが「サバイバルフェーズ」から「成長フェーズ」に移行できるかを分ける最重要指標。

ベンチャースタジオモデル

べんちゃーすたじおもでる

事業コンセプトの設計から創業チームの組成、PMF検証、次回調達までを一貫して担う「事業量産型の経営モデル」。ベンチャービルダーとほぼ同義で用いられるが、スタジオ機能の制度設計・運営構造を強調する文脈で使われることが多い。

ベンチャービルダー

べんちゃーびるだー

複数のスタートアップを並行して組成・構築・支援する組織モデル。「スタートアップスタジオ」とも呼ばれる。単なる投資や短期的なメンタリングではなく、事業の設計・チーム組成・PMF検証まで深く関与する「事業を量産する工場」として機能する。

ポートフォリオ理論とイノベーション

ぽーとふぉりおりろんといのべーしょん

金融のポートフォリオ理論を新規事業に応用し、探索と深化のバランスを設計する概念。リスク分散・期待リターンの最適化という金融論理を、事業ポートフォリオの時間軸と不確実性管理に転用する。

リアルオプション

りあるおぷしょん

不確実な投資機会に対して、将来の意思決定の「権利」を段階的に確保する資本配分の考え方。金融オプション理論を実物投資に応用したもので、新規事業の段階的投資と撤退設計の理論的基盤となる。

リーンスタートアップ

りーんすたーとあっぷ

Eric Riesが2011年に体系化した新規事業開発の方法論。「構築→計測→学習」のループを高速で回すことで、リソースを最小化しながら不確実性を検証する。

組織のアンビデクストリティ

そしきのあんびでくすとりてぃ

両利きの経営とは|既存事業の「深化(Exploitation)」と新規事業の「探索(Exploration)」を組織が同時に追求する能力。Charles A. O''Reilly III と Michael L. Tushman が体系化した組織能力概念で、構造的・文脈的・順次的の3モデルを解説。

両利きの経営

りょうききのけいえい

既存事業の深化(Exploitation)と新規事業の探索(Exploration)を同時に追求する経営戦略。Charles A. O'Reilly IIIとMichael L. Tushmanが体系化した概念で、原語は "Organizational Ambidexterity"。